【トンボロ活動記vol.2】雲仙 ベルガモット植樹イベント
出島トンボロは地域商社として、“長崎のオンリーワンづくり”を掲げている―――。
長崎の魅力を余すところなくお伝えするために始まった「トンボロ活動記」。
第二弾は、私が参加した「ベルガモットの植樹イベント」についてお話しします。
雲仙シトラスファーム代表 渕上兄弟
今回、私とスタッフ川崎で植樹イベントのために訪れたのは、長崎県雲仙市の山間にある「雲仙シトラスファーム」。この辺りは私の母の地元で、幼い頃からよく訪れていた土地。美しい棚田が広がる自然豊かな場所で、海沿いでは有明海をバックに黄色の車両を走らせる島原鉄道を見ることもできます。
そんな緑あふれる場所にある雲仙シトラスファームは、地元出身の兄弟によって造られた。そのうちの一人である弟 敏秀さんは、私の学生時代の後輩。当時は私がサッカー部で、彼が陸上部に所属していたことから共通の知人も多く、植樹イベントの際に数十年ぶりの再会を果たした。
一方、兄の桂樹さんは私より3学年先輩であり、姉の同級生ということで顔見知りではあったが、きちんとお話しをしたのは私が桂樹さんの経営する「農家バー NaYa (ナヤ)」を訪れたことがきっかけだった。元々関東で仕事をしていた桂樹さんはUターンで雲仙市へ。実家が兼業農家であったことから、自ら栽培した野菜を販売していた。その際に一緒に提供していた自家製のホットワインや生搾りジュースの評判が良く、2018年に実店舗としてNaYaをオープンさせた。
私も店舗へは何度も足を運んだことがあり、その都度さまざまなお酒を味わった。その種類は果実酒だけでなく、野菜を使ったお酒もあり独特の風味を楽しむことができる。
ベルガモットクラフトビールへの一歩
2020年頃、弟の敏秀さんも雲仙市へUターンしたことがきっかけで兄である桂樹さんは、自分がUターンした際に仕事をつくりだしたように、弟のためだけでなく「地元雲仙に新たな仕事をつくりたい」と考えたそうだ。私も地域商社であり長崎の価値や魅力を広める立場として、地域活性化まで視野に入れた取り組みは、とてもすばらしいと感じました。
そんな時2人の目に入ったのが、庭に植えていたベルガモットだった。爽やかな柑橘系の香りの中に、フローラルな甘さをまとったベルガモットを活かす方法を考えながら、さっそく自宅近くで苗木の仮植えを開始した。
ベルガモットの主産地はイタリアで、現在も消費の多くを輸入で賄っており、国内栽培のものは少ないという。そんなベルガモットを使用した商品を考えていた際、その香りを楽しめるベルガモットを使ったドリンクを作った経験から、クラフトビールづくりへの挑戦を決めたそうだ。そして2023年10月、ベルガモットの苗木が実をつけ、クラフトビールが完成した。
実際に私も出来上がったベルガモットのクラフトビールを頂いたのだが、ビール自体はとても飲みやすく、何と言っても後味と一緒に広がるベルガモットの香りがアクセントになっていて美味しいと感じた。ビールと聞くとガッと飲み干すイメージがあるが、このクラフトビールはその香りにリフレッシュ効果があるように感じるような、ぜひ一度味わって欲しいビールだ。
ベルガモットの植樹イベント
今年の3月、桂樹さんのFacebook投稿で「島原半島の耕作放棄地へのチャレンジ」というものを見かけたことで、植樹イベントへ参加。この土地は2021年から、兄弟たった2人で開拓を続けた耕作放棄地だ。
植樹イベントでは、一緒に参加した方々と話す機会も多くあり、お話しを聞いている中でこのプロジェクトが、さまざまな参加者に応援されていると感じた。自分のことではなくとも、こうやって色んな人から長崎での地場活動が応援されているということ自体を嬉しく思った。
これから多くの可能性を秘めている雲仙シトラスファームさん。「地域資源を活用した仕事をつくる」ということで、出島トンボロは長崎のオンリーワンづくりを掲げた商品開発をしていく中で、雲仙シトラスファームさんと新たなものを一緒に作っていけたらと思っている。
また個人的に、私もいちご農家の息子として「畑で何かを生み出す」ということに懐かしさを感じつつ、地域資源を活かした事業づくりについて「三方良し」を改めて考える機会となった。
地方における耕作放棄地の課題
耕作放棄地とは、所有者の高齢化や地域の過疎化による人手不足などで、耕作の予定もなく放置された田畑を指す。ふるさとである長崎県雲仙市だけでなく、全国規模で課題となっていると感じており、国内の人口減少や離農も増えていく中で、ますます有効活用する必要が増えていくでしょう。
出島トンボロでは、ご縁を繋いだプレーヤーがその土地に根差し、新規事業で新しい価値を世に生み出していくことで、より地域が活性化できると考えています。
今回参加させていただいた植樹イベントのように、プレーヤーとさまざまな活用方法を一緒に探していくことで、良い事例となるよう、今後も地域活性化に取組んでいきたいです。