【トンボロ活動記vol.1】岩手と長崎をつなぐ「しょうゆカステラ」誕生

岩手と長崎をつなぐ「しょうゆカステラ」誕生

出島トンボロは長崎の地域商社として、“長崎のオンリーワンづくり”を掲げている―――。

私は以前より、長崎企業の皆さまとの出会いを通して、より多くの方に長崎のものやこと、
その魅力やちからを知ってもらいたいと考えていました。

しかし、どうすれば多くの方に伝わるのか。
よりリアルな声を届けるためには、どうすれば良いか。

長崎の魅力を余すところなくお伝えするためにわたくし、代表 林田のことばで綴ります。

出島トンボロという若く自由な会社だからこそ、長崎のハブとなって出会いの糸を結ぶことができますように。
人と人、モノとモノの間にトンボロ現象を起こしていきます。

今回は第一弾として、7月6日に販売が開始された「しょうゆカステラ」の誕生までをお話しいたします。

カステラ「杉谷本舗」との出会い

私が長崎の老舗カステラ店 杉谷本舗の八代目 杉谷達成(たつなり)さんに出会ったのは、とあるカステラ製造の相談がきっかけだった。そんな達成さんとは1986年生まれの同年代。どうやら就職活動で同じ企業を受ける時に、すれ違っていたとかなんとかで共通点もあり…(と、ここでは割愛させていただきます)。

時を経て2022年、長崎・諫早の地で再会することになる。

東京で働きだした達成さんはその15年後、東京のベンチャー企業から家業のために長崎へUターン。自分のやりたい仕事ができた東京と、歴史が途絶えようとしている長崎での生活。私は老舗カステラ店の八代目として生きる道を選んだ達成さんに、感銘を受けた。
それと同時に、私も長崎県人として長崎の文化と歴史をつなぐために、何かできないかと感じた。

歴史がつないだ「岩手のしょうゆ」

今回誕生したカステラの重要な味を担う醤油とのコラボレーションは、びはんホールディングスの間瀬さんとの出会いがきっかけだった。びはんホールディングスは、地場で代々続くスーパーを中心とした老舗企業。その中でも、今回使用させていただいた「山田の醤油プレミアム」は店の看板商品の一つでもある。

初めて間瀬さんとお会いしたのは、経営者団体の勉強会でのこと。そこから、本社がある岩手県山田町にも訪問させていただき、その時、間瀬さんに東北大震災時の震災状況が分かる動画を見させていただいた。

その後、会社の裏にある動画を撮影した丘の上に連れていってもらった時、「林田さん動画見たでしょ?あの時から、これだけこの町は復興したんです。これからももっとよくなるんです。」と言った間瀬さんのことばを、私は今でも覚えている。

大きな壁に直面しながらも、強い気持ちで経営されている事に勇気をもらった。

東北で息づくオランダの風

皆さんの中で「オランダ島」という名前を聞いたことがある方はいるだろうか。
私も36歳で初めて知った歴史として、岩手県山田町にはオランダ島という島が存在する。
正式にはこの島は、「大島」という山田湾の真ん中に浮かぶ無人島だ。

今から380年前、オランダ船が岩手の山田湾に漂着した際、山田町の人々は乗組員を歓迎。酒をくみかわし、物々交換をするなどしたそうだ。さらにこの縁は現代でも続いており、平成12年にはオランダのザイスト市と友好都市を締結。互いの街を行き来するほど、友好な関係を築いている。

https://oranda-jima.org/yamadas-history

何百年も前に遠い異国の地オランダと縁があった岩手。同じく古くより唯一の窓口となり、オランダとの交流がある長崎。そんな共通点でつながった岩手と長崎で何か面白いことが出来ないかと考えていた頃、岩手県山田町に新しい道の駅ができるということで、一緒に何か出来たらと相談を頂くこととなる。

生まれ育った地元で頑張る仲間として、また共に八代目として会社を担う存在として、そして何よりもふるさとを愛するものとして、達成さんと間瀬さんの想いをひとつに“トンボロ”出来ないかと考えた。

長崎の味カステラと、遠く離れた地 岩手の醤油が合わさると、どんなマリアージュが生まれるのか、そんなワクワクした気持ちを感じながら、オリジナルカステラづくりは始まった。

道の駅オリジナルカステラづくりへの挑戦

第一関門として私が懸念したこと、それはカステラの老舗が醤油カステラ案を受け入れてくれるかということ。

ただこの問題は、スムーズに解消した。というのも、杉谷本舗の達成さんも新たなことへチャレンジしたいという気持ちを持っていてくださっていたことで、さまざまな味に挑戦することができる状態だったからだ。

こういう時老舗であると、腰が重かったり保守的だったりするのだが、杉谷本舗さんの持つベンチャー精神のおかげで、新しい提案をすることが叶った。

あとは味の調整だ。
発酵食品と甘いもの…、いぶりがっことクリームチーズは私もすきな味だ。
では、しょうゆとカステラはいったいどんな味になるのか。

自社スタッフにもたくさんの試作品を食べてもらい、4回ほど調整を繰り返して試行錯誤。醤油は少しの量の変化で味が大きく変わってしまうので、その見極めがとても大変だった。また、醤油を入れすぎると濃くなってしまうが、薄すぎるとぼやけた味になってしまう。そのメリハリの黄金比を探すことは困難を極めた。

そして、人それぞれに好きな味があるように“食品”の評価として、味覚は人の数だけあるということを改めて実感。自分がおいしいと感じることはもちろん、おいしいのマジョリティーを獲得できる味に調整する必要があった。また、今回は長崎のカステラ、そして岩手の醤油のコラボということで、味をイコールにするために、根本的なカステラっぽさをちゃんと表現できているか、ということも大切に作り上げた。

そして、ついに納得する味が完成!
カステラのフワシュワ食感を失わないように調整したことで、カステラ特有の口いっぱいに広がる食感を楽しめる一品となっている。

さらに、商品の顔となるネーミング。
今回は杉谷本舗から発売されている「プレミアム・ショコラ」と同時発売されるため、陳列棚に並んだ時の統一感を考えて「プレミアム・ショウユ」と命名。ユーモアのある名前を付けることで、地元で愛される山田の醤油のような、親しみやすさを感じられるように考えた。

オランダという縁でつながった長崎と岩手、地元を愛する八代目同士がコラボしたオリジナル商品の完成となった。

まずは7月6日、山田町の道の駅から東北エリア限定で販売開始。
この夏、東北に長崎の甘い風が香ることを願って。

【道の駅】

■岩手県

道の駅やまだ おいすた
〒028-1321 岩手県下閉伊郡山田町山田第5地割 66番地1

追記

島原半島唯一の道の駅 「道の駅ひまわり」にて「しょうゆカステラ」の販売決定!
島原や雲仙の特産品や地元のおいしい野菜、さらには平戸産の新鮮な魚介類も並ぶ、
今年の4月にリニューアルしたばかりの道の駅だ。

カステラの本場で、新たなブームを巻き起こすことができるか。
この夏、長崎へ足を運ばれた方はぜひ、道の駅ひまわりへ。
そしてぜひ、しょうゆカステラ「プレミアム・ショウユ」を味わってみてほしい。

あなたの忘れられない、想い出の1つとなるだろう。

【道の駅】

■長崎県

道の駅ひまわり
〒859-1504 長崎県南島原市深江町丁6077

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